STLデータとは?データの作成方法やおすすめのSTL編集ソフト6選を紹介!

2021年12月17日

3DCADソフトにおけるファイルフォーマットの一つが、STLデータです。ポリゴンと呼ばれる小さな三角形を用いて3次元の構造物を表現するもので、3Dプリンターのデータとしてよく使用されてきました。
STLデータを作成する方法としては、3DCADソフトを使用してモデリングしたり、3Dスキャナーで取り込んだりするなどの方法があります。また、作成したSTLデータを効率良く編集できるソフトの選定も重要になるでしょう。
そこで今回は、STLデータの概要や作成方法、おすすめの編集ソフトなどを解説します。

STLデータとは?

STLデータの概要や、似たものと思われやすいSTEPデータとの違いを解説します。

STLデータの特徴

STL(Stereolithography)データとは、3DCADソフトにおけるファイルフォーマットの一つであり、特に3Dプリンター業界で多く使用されるフォーマットです。STLデータでは、小さな三角形(ポリゴン)を大量に用いて立体的な集合体にすることで、3次元の形状を表現します。

STLデータには、アスキー形式とバイナリ形式があります。アスキー形式は可読性があるので利便性は高くなっていますが、読み込みが遅い点に注意しましょう。対して、バイナリ形式は可読性がありませんが、アスキー形式と比較して読み込みが速いのが利点です。

STEPデータとの違いは?

STEPデータ(Standard for the Exchange of Product Data)とは、ISOの標準規格とされる中間ファイルフォーマットで、データ交換に特化しています。

CADソフトにはさまざまな種類がありますが、CADソフト同士に互換性がない場合、そのままではお互いのデータを使用できません。その際、各CADソフトの橋渡し役になるファイル形式が中間ファイルフォーマットです。これにより、異なるCADソフトで設計したデータをやり取りできるようになります。

STEPデータは複数のCADソフトに対応し互換性が高い分、ファイルのデータ量が多くなるのが難点です。データ量が多すぎると、再現性が低下することもあるので注意しましょう。

STLデータは、STEPデータと比較して少ないデータ量で収まるのがメリットですが、形状の再現性はSTEPデータより劣ります。

3Dプリンターのデータ作成方法

3Dプリンターにおける一般的なデータ作成方法として、4種類の方法を解説します。

3DCADソフトを使用したモデリング

CADとは「Computer Aided Design」の略称で、一般に「コンピューター支援設計」を意味します。つまり3DCADとは、3次元での設計をコンピューターの支援のもとに行なうシステムです。

3DCADソフトを使用してデータを作成することには、視覚的にわかりやすいという大きなメリットがあります。対象物のイメージをつかみやすいので複雑な構造体でも容易に作成でき、結果的に3Dプリンターでの造形も行ないやすくなるでしょう。

3DCGツールを使用し作成する

CG(Computer Graphic)を作成する3DCGツールを使用して、3Dプリンター用のデータを作成する方法です。CGツールには、おもにポリゴンベースとスプラインベースの2種類があります。以下のような違いがありますが、どちらの方法を使っても作成は可能です。

  • ポリゴンベース:小さな三角形や四角形を組み合わせてデータを作成する方法
  • スプラインベース:曲面を用いてデータを作成する方法

CGツールは滑らかな曲線を表現しやすい反面、寸法を正確に算出しにくいので注意しましょう。

スキャナー機能でデータを作成する

3Dスキャナーと呼ばれる、対象物をスキャンして3Dデータとして取り込める装置を用いてデータを作成する方法です。センサーやレーザーなどによって3Dデータにしたい対象物の座標データを取得し、ポリゴンデータに変換することで3D用のデータを作成します。

対象物をスキャンするだけでデータ化でき非常に手軽ですが、実物がない場合は使用できません。

サンプルデータを利用する

無料でダウンロードできるSTLデータをインターネットで見つけて、使用する方法もあります。STLデータを自分で作成する必要がないという手軽さが魅力ですが、多くのSTLデータのなかから、目的に適したものを見つけ出さなければなりません。

また、個人で使用する分には基本的に問題はありませんが、ライセンスに関しては規約などを確認し、十分に理解したうえで使用しましょう。無料でダウンロードできるサイトの例としては、以下が挙げられます。

STL編集ソフト6選

STL編集ソフトは、STLデータの作成や編集をするためのツールです。おすすめのSTL編集ソフトについて、無料版と有料版に分けて紹介します。

フリー(無料)で使えるSTL編集ソフト

無料のSTL編集ソフトのうち、おすすめは以下の3種類です。

Autodesk / Fusion 360

モデリング機能に加えてレンダリング・解析・2次元図面など、さまざまな機能を搭載した編集ソフトです。スタートアップ企業や学生や個人での利用に限り無料で提供されています。設計に役立つパラメトリックモデリングや、曲面に強いスカルプトモデリングなどにも対応しているため、設計やデザインなど、幅広い用途に使用できるでしょう。

FreeCAD

オープンソースで拡張性に優れた編集ソフトです。他のソフトと連携したり、応力解析をしたりできる自由度の高さが魅力でしょう。モデリング以外の機能は自分で追加インストールが必要になる場合が多いので、機能の拡張に慣れている方におすすめです。

Blender

オープンソースの3DCG制作ツールで、無料ながら多様な機能を搭載しているのが特徴です。モデリング・アニメーション制作・レンダリング・アプリ用の出力などもワンストップで実行でき、ゲームコンテンツなどの分野でも注目されています。

有料版のSTL編集ソフト

有料版のSTL編集ソフトのなかから、おすすめの3種類を紹介します。

Materialise / Magics

STL編集を容易にする自動機能が充実した編集ソフトです。格子構造生成、自動修正・オフセットツールなどの機能によって、簡単に高品質な3Dデータが作成できます。 また、造形を分析して潜在的な問題を検出できるので、思わぬ理由による造形失敗を回避でき、コストの削減につながるでしょう。

Altair / Inspire Print3D

シミュレーションに特化したツールで、立体物の開発や積層造形におけるコスト削減をサポートします。パフォーマンスや製造をシミュレーションするための各種ツールを搭載しており、設計の変更から品質評価まで実行できるのがメリットです。

大きな変形・過熱・層間剥離などの問題点を検出できるので、造形の段階に入る前に設計やプロセスを効率良く見直せるでしょう。

3D Systems / Geomagic Design X

3Dスキャンから、高速かつ確実にCADモデルを作成することを目的としたツールです。CADモデルを素早く作成する機能に優れているので、製品リリースの短期化や、製品ライフサイクルの長期化などを達成しやすくなります。CADモデルをビジネスに活用したい場合におすすめです。

まとめ

STLデータとは、3DCADソフトのファイルフォーマットの一つであり、ポリゴンと呼ばれる小さな三角形によって、3次元の構造物を表現するものです。

STLデータを作成する方法として、3DCADソフトを使ってモデリングしたり、3Dスキャナーで対象物を取り込んだりするといった方法があります。その他には、インターネットで無料のSTLデータをダウンロードして利用するのもよいでしょう。

STLデータを効果的に利用するには、STL編集ソフトがポイントです。STL編集ソフトは無料で使用できるオープンソースのものや、高速で3Dスキャンすることに特化した有料のものなど種類が豊富なため、目的に合わせて選んでください。

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